電着塗装とは、水溶性塗料を入れたタンクの中に被塗物を浸し、これを陽極、または陰極として直流電気を流し、塗膜を密着、形成させる塗装方法です。
電着塗装の種類
アニオン電着塗装
被塗物を陽極(プラス)、電極を陰極(マイナス)として通電する方式で、カチオン電着塗装と比べると、より古い歴史があり、塗装色の安定性や焼付温度が低いなどの利点があります。
カチオン電着塗装
被塗物を陰極(マイナス)、電極を陽極(プラス)として通電する方式で、アニオン電着塗装と比べると、密着性、強固な膜厚、より高い防食性などの利点があります。
電着塗装の長所と短所
長所
- 膜厚が均一
電気化学反応を利用しているため、導電性の部分には均一に反応を起こさせることが出来ます。
- 膜厚管理が容易
一定範囲内の厚さであれば、調整可能です。
- 塗料ロスがほとんど無い
電気的に塗膜を析出させるので無駄になる塗料が最小限で済みます。
- 環境に良い
水性塗料(低VOC)であるため、火災の危険がなく、溶剤の大気汚染も少ないです。
短所
- 設備が大型化しやすい
多くの付属設備を必要とするので、設備コストが高くなりがちです。
- 被塗物は導電性のものに限られる
原理上、被塗物は導電性のあるものに限られます。
- 厚膜化が難しい
被塗物表面での化学反応を利用した塗装であるため、条件ごとにある程度の厚さになると反応が止まります。
- 紫外線劣化がある
具体的には、ある長さよりも短い波長の光で、劣化が始まります。
- 塗料成分の沈降防止のため、撹拌が必要
安定した塗装条件を維持するためには、塗料成分の沈降は避ける必要があります。
- 定期的に不純物の除去が必要
不純物イオンが持ち込まれると塗料の電気特性が変化し、不良の原因となります。